「自社商品をネット販売したいけど、ECサイトってどうやって始めれば良いの?」
「ECサイトの制作って簡単?開設後すぐに販売できると嬉しいんだけど…」
商品やサービス販売に役立つECサイトですが、いざ制作するとなると何から手を付ければ良いか悩んでしまう方も多いでしょう。
本記事では、これからECサイトを作る方に役立つ情報をまとめました。製作開始から完成までに必要な期間や費用、作成時の注意点や具体的な手順まで詳しく掲載しているので、ぜひ参考にしてください。
ECサイトの制作方法3選
ECサイトの制作方法は、主に以下の3種類に分かれます。
- ASPを使って自作する
- フリーランスに代行してもらう
- 制作会社に委託する
各方法の特徴とメリット・デメリットについて見ていきましょう。
ASPを使って自作する
ASPは「Application Service Provider」の略で、ECサイトを販売するのに適したプラットフォームを提供(レンタル)しているサービスのことです。商品が売れると、オンラインショップ専用のショッピングカートシステムであるASPカートを経由して決済が行われます。
国内で人気のASPカートには以下があります。
サービス名 | 運営会社 | 初期費用 |
BASE(ベイス) | BASE株式会社 | 0円~ |
STORES(ストアーズ) | STORES株式会社 | 0円~ |
カラーミーショップ | GMOペパボ株式会社 | 3,300円~ |
ecforce | 株式会社SUPER STUDIO | 要問合せ |
ASPはすでにショップの基本構造が整っているため、サイト制作の知識やスキルが無い人でも手軽にECサイトを制作できるのがメリットです。
一方で、デザインや機能のカスタマイズ性が低い場合が多く、初期費用以外に月額費用や販売手数料などのコストがかかるというデメリットもあります。
制作会社に委託する
自社独自のデザインや機能を備えたECサイトを制作したい場合には、制作会社に外注するのも手です。自社のブランドイメージや商戦を踏まえた、高品質なサイトを制作してもらえます。
ただし、販売する商品や業界への知識が少ない制作会社に一任してしまうと、商品やサービスの魅力が存分に伝わらない可能性があります。こうした事態を防ぐためには、綿密な打ち合わせや運営に参加できる企業を選ぶと良いでしょう。
フリーランスに代行してもらう
フリーランスのWebデザイナーやWebエンジニアなどに委託すると、制作会社よりも安価な費用でECサイト制作を請け負ってもらえるケースが多いです。そのため「ECサイトを自作する自信はないけど、なるべくコストは抑えたい…」という場合には、フリーランスの利用を検討してみましょう。
ただしフリーランスは質にバラつきがあるため、必ずしも期待通りの成果を得られるとは限りません。なかには納期遅れや音信不通を繰り返す悪徳フリーランスも存在します。依頼する際には相手の実績や口コミなどをよく調べ、吟味することが大切です。
ECサイト制作に必要な期間と費用
ECサイト制作に必要な期間と費用は、制作するサイトの規模や方法によって大きく異なります。たとえば無料ASPを使って自作した場合、フリープランなら初期費用をかけずに短時間(30分程度)でサイト開設が可能です。
ただし以下のような場合には、コストがかかってもECサイトの知識と技術を持つ制作会社へ依頼するのがおすすめです。
- 自社ブランドの認知度を上げたい
- 商品の魅力を最大限に伝えて、売上増を期待したい
- 企業の意向やビジョンに沿うECサイトを制作したい
制作会社を利用した場合の製作期間と費用の目安は、以下の通りです。ただし、制作に使用するツール・販売規模・商品数・サポート範囲などにより期間や費用は変動します。
使用ツール | サイト規模 | カスタマイズ性 | 期間 | 費用 |
ECモール | 小規模 | × | 1日~3日 | 10~30万円 |
無料ASP | 小規模 | × | 1日~1週間 | 10~50万円 |
有料ASP | 小~中規模 | △ | 1週間~1か月 | 20~100万円 |
オープンソース | 中規模 | ◯ | 3か月 | 100~500万円 |
ECパッケージ | 中~大規模 | ◎ | 3~6か月 | 500~1,000万円 |
フルスクラッチ | 大規模 | ◎ | 1年~ | 1,000~3,000万円 |
制作会社に依頼する場合には。事前に対応範囲と金額を確認しておくと安心です。
ECサイト制作の流れ
ECサイト制作の一般的な流れは以下の通りです。
- サイト制作に必要な情報をまとめる
- サイト制作に必要な要件を整理する
- プラットフォームを選ぶ
- コンセプトをもとにデザインを考える
- ECサイトに商品を登録する
- 登録商品の情報を確認する
- テスト注文をする
- サイトをオープンする
各ポイントについて解説していくので、自作する人も委託を検討している人もぜひ参考にしてください。
サイト制作に必要な情報をまとめる
まずはサイト制作を行う上で需要となる、以下の情報をまとめます。
- サイト制作の目的
- ECサイトのターゲット
- 自社ならではの強み
- 商品の情報(商品名・価格・在庫数など)
- 商品の画像
- 対応可能な配送方法と送料
これらの情報をまとめる上で欠かせないのが「市場調査」と「競合分析」です。
市場調査により顧客のニーズやトレンドを把握することで、自社商品のアプローチ方法が定まり効率的に売上を伸ばす効果が期待できます。
競合分析では、競合他社の価格帯・配送方法の種類・アフターサポートなどを踏まえて強みと弱みをチェックします。その結果と自社の特徴を踏まえて差別化できるポイントを明確にすることで、戦略的なアプローチが可能となります。
参考:WEB制作会社つなぐホームページ – 売れるショップに変身させるための10の戦略(2024年)
サイト制作に必要な要件を整理する
サイト制作に必要な要件を整理するために、以下の3つを実践してみましょう。
実践内容 | 例 |
必要な機能を洗い出す | 商品検索・カート機能・注文履歴・在庫管理・売上レポート・クーポン発行・SNS連携 など |
予算や期間を計算する | ツールの導入費用・背座員費用・月額料金・販売手数料・広告費・開設までの猶予 など |
決済方法を選ぶ | クレジットカード・コンビニ払い・電子マネー・後払い など |
サイト制作に取り掛かる前に上記を決めておくと、プラットフォームを選んだり制作会社に委託したりする際の対応がスムーズです。また、準備が整っていると運営開始後のトラブルを防ぐことにも繋がります。
プラットフォームを選ぶ
ECサイトに必要な条件と要件を踏まえて、使用するプラットフォームを選びましょう。これまでに紹介した各プラットフォームの特徴をまとめると、以下のようになります。
プラットフォーム | メリット | デメリット |
ECモール | ・コストを抑えられる ・モール自体の集客力を利用できる ・サイト制作の知識やスキルがなくても始めやすい | ・販売手数料がかかる ・モールの規約に沿って運営する必要がある ・自社ブランドをアピールしにくい |
無料ASP | ・初期費用がかからない ・最短40分程度で開設可能 ・基本機能(商品登録や決済機能など)がすぐに使える | ・販売手数料がかかる ・カスタマイズ性が低い ・中~大規模運営には不向き |
有料ASP | ・機能性とコストのバランスが良い ・幅広い機能(SEO対策やマーケティングなど)に対応している場合も多い ・サポートが手厚い | ・ランニングコストがかかる ・カスタマイズには限界がある ・専門的なスキルが必要な場合がある |
オープンソース | ・ソース自体は無料で利用できる ・拡張機能が豊富でカスタマイズ性が高い | ・専門的なプログラミングスキルが必要 ・セキュリティ対策が必須 ・トラブル発生時は自社で対応する必要がある |
ECパッケージ | ・高度な機能と拡張性がある ・サポート体制が手厚い ・クラウド型など導入方法の選択肢が豊富にある | ・費用が高額になる ・大規模になるため運営にはスキルや制作チームが必要 |
フルスクラッチ | ・完全オリジナルのサイト制作が可能 ・高度なカスタマイズにも対応できる ・将来的な拡張性が高く、運営ニーズに合わせて移行も可能 | ・開発コストが高く、制作期間も長くとる必要がある ・専門的な開発チームやスキルが必要 |
自社の規模やサイト制作の目的などに合わせて、どれが最も適切か比較検討してみましょう。
ECサイトのデザインを考える
Webデザインを考案するときは以下のポイントに注目すると、見込み顧客の心を引く高品質なデザインに近づきます。
- ターゲット層(若年層・女性層・高級志向層など)
- ブランド(カラー・ロゴ・フォントなど)
- ユーザー体験(操作性の良さ・対応デバイスの多さなど)
自社内にWebデザインのスキルを持つ人材がおらず対応が難しい場合は、制作会社やフリーランスへの委託も検討してみましょう。
ECサイトに商品を登録する
ECサイトの準備ができたら、実際に商品を登録していきます。このとき必ず在庫状況を確認しておきましょう。登録後に在庫がないことが判明するとトラブルになる恐れがあるためです。
商品登録後は、サイトに公開する前に商品名・カラー・在庫数・価格・発送方法などに誤りがないかしっかり確認しておきましょう。
テスト注文をする
商品を登録した後は以下の点を確かめるため、一度テスト注文しておくことをおすすめします。
- 実際に注文するまでの操作性
- 商品検索~注文後までのエラーの有無
- 在庫数管理の正確さ(注文数だけ在庫数が減少しているか)
- 注文手続きの連絡の有無
テスト注文時にエラーや連絡漏れなどがあれば、サイト設計にミスが無いかチェックしてみましょう。ミスが見つかった場合はサイトオープン前に解消しておけるので、実際に顧客が注文した時のトラブルを防げます。
サイトをオープンする
準備が整ったらサイトをオープンしましょう。オープン初期はSNSなどを使って呼びかけを行うと、効率的な集客効果が期待できます。必要に応じてGoogle広告の利用やオープン記念セールの開催も検討してみてください。
また、サイトオープン後はGoogle Analyticsなどの分析ツールを使ったアクセス解析も必要です。これにより顧客ニーズが明確化し販売戦略を立てられるため、さらなる売上増を目指せるでしょう。
制作会社によってはアクセス分析までサポートしている場合もあります。たとえば「ハンズバリュー/つなぐホームページ」の場合、SEO(検索エンジン)対策から魅力的な文章で商品紹介をするためのコンテンツ企画まで対応しています。ECサイト運営の負担を減らしたい方は、こうしたサービスの利用も検討してみましょう。
ECサイト作成時の注意点
ECサイトを制作する上で注意したいのが、以下の2点です。
- サイトの効果が出るまでは時間がかかる
- 実店舗以上に魅力を伝える必要がある
ECサイトをはじめWebサイトは競合が多いため、サイトが見込み顧客に認知されるまでに時間がかかります。とくに中小企業は自社ブランドが広まるまでに数ヶ月~数年単位かかる場合もあります。
また、ECサイトが認識されるようになっても、商品の魅力が存分に伝わらなければ売上には結び付きません。商品を手に取ったり目の前で見たりできる実店舗とは異なり、写真や説明文のみで魅力を伝えなければならないECサイトは売り方にも工夫が必要です。
ECサイトは商品販売に最適!競合に勝つための戦略を立てよう
ECサイトと一言でいっても、「コストが安価なタイプ」「カスタマイズ性が高いタイプ」などさまざまなタイプのものが存在します。しかし、そのどれにも共通するのが、競合他社に負けないだけの魅力を伝えなければ売上に繋がらないという点です。
もし自社内だけでECサイトを制作するのが難しい場合には、制作会社やフリーランスへの委託も検討してみましょう。